BLOG ブログ

無料トライアル実施中 成果を上げるチームを作る

《LEGO®社開発チームビルディング研修》

AI時代の管理職に必要なのは、AIスキルではなく人間関係を紡ぐ力

AI時代の管理職に必要なのは、AIスキルではなく人間関係を紡ぐ力

こんにちは。コミュニケーションデザイナーの東ヤスオです。

「AI時代に必要な管理職スキル」を調べても、はっきりした答えはなかなか見つかりません。AIツールの使い方を紹介する記事は増えていますが、それは道具の使い方であって、管理職そのものの役割がどう変わるのかという問いには、まだ答えが出ていないように感じます。この記事では、AIが管理職の仕事を変えていく中で、むしろ人間の管理職にしかできないことは何かについて、僕なりの考えをお伝えします。

結論を先にお伝えすると、AI時代に管理職に求められるのは、新しいAIスキルではありません。むしろ、これまで「ソフトスキル」と軽視されがちだった人間関係を築く力が、これから最も重要な専門性になっていくと考えています。

AIが代わりにやってくれるようになること

スケジュール調整、業務データの分析、進捗の可視化、議事録の作成。こうした業務は、すでにAIツールが人間より速く、正確にこなせるようになってきています。近い将来、部下の稼働状況を分析して「このメンバーの業務量が過多です」と教えてくれるのも、AIが担うようになるでしょう。人事評価の一次案を作成したり、面談のログから傾向を分析したりすることも、すでに一部では実用化が始まっています。

これまで管理職の仕事の多くは、こうした「状況を把握し、整理する」作業に時間を使ってきました。その部分がAIに代替されていくのは、むしろ歓迎すべき変化だと思います。実際、資料作成や情報整理に追われて、部下と向き合う時間を十分に取れていないと感じている管理職の方は少なくありません。

AIが代わりにできないこと

一方で、AIがどれだけ進化しても代替できない部分があります。それは、部下がまだ言葉にしていない本音を引き出し、信頼関係を築くことです。AIは「業務量が過多です」というデータは示せますが、「なぜこの部下が、業務量が多いことを誰にも相談できずにいたのか」という背景までは分かりません。

この背景には、上司との関係性や、心理的安全性の有無が関わっています。データが教えてくれるのは結果であり、その結果が生まれた人間関係の文脈を理解し、次にどう関わるかを決めるのは、これからも人間の管理職の役割です。

例えば、AIが「この部下の残業時間が急増しています」と警告してくれたとしても、その裏に「新しい業務のやり方を誰にも相談できず、一人で試行錯誤していた」という事情があるかどうかまでは、データだけでは見えてきません。その事情に気づき、声をかけ、必要なら手を差し伸べるという一連の関わりは、これからも人間にしかできない領域です。

1on1での目標設定は、なぜAIに任せられないのか

1on1で特にAIに任せきれないのが、部下の「これからの目標」を一緒に考える場面です。AIは、これまでのやり取りや実績データを集約し、傾向を示すことは得意です。しかし目標設定とは、過去の延長線上にある数字を当てるクイズではありません。まだどこにも存在しない、その人自身の「こうなりたい」という未来を、対話の中から一緒に立ち上げていく作業です。

過去のデータをどれだけ集めても、そこから出てくるのはあくまで過去の傾向の延長です。部下自身も気づいていない、本当はどうなりたいのかという願いや、まだ言葉になっていない矛盾に気づき、そこから答えのない未来を一緒に描いていく。これは、コーチングという対話がまさに得意とする領域であり、過去の集約であるAIには原理的にできないことです。コーチングが本当に効くのは「答えのない場所」だとお伝えした通り、1on1の準備をAIに手伝わせるのは有効ですが、目標設定そのものの対話は、人間同士でしかできません。

実際にあった、AI活用と人間関係のバランスの話

以前、ある企業の管理職の方が、部下の1on1の準備にAIツールを活用し始めたという話をしてくれました。過去のやり取りを要約させ、話すべきトピックの候補を出させる。効率は上がったそうですが、しばらくして部下から「最近、話を聞いてもらえている感じがしない」というフィードバックを受けたそうです。

話を伺うと、その方はAIが用意した「話すべきトピック」に沿って1on1を進めることに意識が向き、部下の表情や言葉の微妙な変化に注意を向ける余裕がなくなっていたことに気づきました。効率化のためのツールが、いつの間にか対話そのものの質を下げてしまっていたのです。その後は、AIツールを準備段階だけで使い、実際の対話の場ではツールを閉じて向き合うようにしたところ、部下の反応も変わったといいます。この方は「AIが悪かったわけではなく、AIに頼りすぎて自分の意識の向け方を変えてしまったことが問題だった」と振り返っていました。道具そのものではなく、道具にどう向き合うかが問われているのだと思います。

自己診断:効率化が関係性を犠牲にしていないか

  • 1on1や面談の時間が、情報を伝達する時間になってしまっている
  • 部下の話を聞くとき、次に何をすべきかを考えることに意識が向いている
  • データや分析ツールに頼る場面が増え、部下と直接向き合う時間が減っている
  • 「効率化できた」という実感はあるが、部下との関係の質は測っていない

これからの管理職に求められる、2つの力

1.AIに任せられる業務を、思い切って任せる判断力
状況の把握や整理にかけていた時間をAIに委ねることで、対話の時間を確保できます。

2.その分空いた時間を、関係性を深める対話に使う力
これはコミュニケーションはやり方ではなく「在り方」の記事でもお伝えした通り、テクニックの問題ではなく、相手への好奇心を土台にした関わり方の問題です。情報や分析はAIから得られる時代になっても、「あなたのことを理解したい」という姿勢そのものは、AIが代わりに示すことはできません。AIが処理できる情報が増えるほど、逆説的に、この「在り方」の重要性は増していくと考えています。

体験を通じて、この力を育てる

この「関係性を深める力」は、知識として学ぶだけでは身につきにくいものです。管理職研修にレゴ®シリアスプレイ®メソッドが効く理由の記事でもお伝えした通り、体験を通じて自分自身の関わり方を振り返る機会が、この力を育てる近道になります。AIが得意な領域が広がっていくほど、人間だけができる領域に投資する価値は高まっていくはずです。研修やコーチングという「時間をかけて向き合う場」への投資は、AI時代においてむしろ効率化に逆行するように見えて、実は最も差がつきやすい投資になっていくと考えています。

よくある質問

Q. AIツールの導入自体に、慎重になるべきですか?
いいえ。業務の効率化自体は積極的に進めるべきです。ただし、効率化によって生まれた時間を、対話や関係構築に再投資することを忘れないでください。効率化そのものが目的化してしまうと、今回ご紹介したケースのような落とし穴にはまりやすくなります。

Q. AIに管理職の仕事が奪われる、という不安はありますか?
状況把握や分析といった業務は変化していきますが、部下との関係を築き、意味づけをする役割は、むしろ今後さらに重要になると考えています。

Q. 部下育成の場面でも、この考え方は当てはまりますか?
はい。部下育成がうまくいかない本当の理由の記事でもお伝えした通り、育成の本質は関係の質にあります。AIがどれだけ発達しても、この土台は人間同士の対話でしか作れません。

Q. すでにAIツールを使いこなしている管理職は、この点を気にしなくていいですか?
むしろ使いこなしている方こそ、空いた時間を対話に再投資できているかを、一度振り返ってみることをおすすめします。効率化そのものは良いことですが、その先に何を置くかで結果は大きく変わります。

Q. 部下との目標設定の対話に自信がない場合、どうすればいいですか?
まずは自分自身が対話を通じて目標を立てる経験をしてみることをおすすめします。1on1コーチングで、答えのない場所から目標を引き出すプロセスを体感していただくと、部下との対話にもそのまま活かせます。

さいごに

AI時代に必要な管理職スキルを、ツールの使い方の中に探しても見つかりません。むしろAIが担える業務が増えるほど、人間の管理職に残される役割は、部下と本音で向き合い、関係を築くことに絞られていくはずです。効率化の先にある時間を、どう使うか。それが、これからの管理職の分かれ道になると思います。AIに任せられることは任せ、人間にしかできないことに時間を使う。そのシンプルな判断の積み重ねが、これからの管理職の価値を決めていくはずです。

ご興味を持たれた方は、お問い合わせフォームからご相談ください。AIにできることが増えていく今だからこそ、人間同士の対話に投資する意味を、あらためて見直してみませんか。

ではまた!