BLOG ブログ

無料トライアル実施中 成果を上げるチームを作る

《LEGO®社開発チームビルディング研修》

『仕組み化』だけでは人は動かない|ルールの前に必要な『腹落ち』

『仕組み化』だけでは人は動かない|ルールの前に必要な『腹落ち』

こんにちは。コミュニケーションデザイナーの東ヤスオです。

「気合いや根性に頼らず、組織を仕組み化したい」というご相談を、経営者・管理職の方からよくいただきます。仕組み化そのものはとても大切な考え方です。ただ、仕組みを作ったのに、思ったように機能しなかったという声も、同じくらいよく耳にします。この記事では、仕組み化がうまくいく組織とそうでない組織の違いについてお伝えします。

仕組み化とは何か

仕組み化とは、特定の個人の頑張りやモチベーションに依存せず、誰がやっても一定の成果が出るようにルールやプロセスを整備することです。属人化を防ぎ、組織として再現性のある成果を出すために欠かせない考え方であり、近年多くの経営書でも取り上げられています。特定のエース社員がいなくなった途端に業務が回らなくなる、という事態を防ぐためにも、仕組み化は組織の持続性を支える土台になります。感覚や経験則に頼っていた業務を言語化し、誰でも一定の水準で再現できるようにすることは、組織の成長段階において避けて通れないテーマだと言えます。

ルールは作ったのに、なぜ形骸化するのか

以前、ある企業様でこんな相談を受けたことがあります。「業務ルールを整備し、マニュアル化も進めた。それなのに、現場では相変わらず属人的なやり方が続いている」というものでした。話を伺うと、ルールそのものは論理的に正しく、経営陣も自信を持って導入したものでした。

しかし現場の社員に話を聞くと、「なぜこのルールが必要なのか、正直よく分かっていない」「上から降ってきたものをこなしている感覚」という声が多く聞かれました。ルールを作った側の納得感と、それを実行する側の納得感の間に、大きなギャップがあったのです。仕組みは完璧でも、そこに関わる人が「自分ごと」として受け止めていなければ、最低限守るだけの形骸化した仕組みになってしまいます。

この企業様では、その後アプローチを変えました。ルールの内容を変更する前に、まず現場のメンバーを集め、「なぜこのルールが必要だと思うか」「今のやり方のどこに困っているか」を、対話形式で率直に話し合う場を設けたのです。すると、経営陣が想定していなかった現場ならではの困りごとが次々と出てきて、ルールの一部を現場の意見を踏まえて調整することになりました。結果として、同じような内容のルールでも、以前よりずっと自然に守られるようになったといいます。

自己診断:仕組みが形骸化しているサイン

  • ルールやマニュアルを整備したのに、現場での運用がなかなか定着しない
  • 社員に「なぜこのルールがあるのか」を聞いても、明確な答えが返ってこない
  • ルールを守ることが目的化し、本来の目的が忘れられている
  • 仕組みについて、現場から改善提案が出てくることがほとんどない

仕組み化の前に必要な「腹落ち」

仕組み化がうまく機能する組織に共通しているのは、ルールを整備する前に、そのルールが必要な理由を、関わる人たち自身が納得できているという点です。これは経営合宿の記事でもお伝えした「計画は作れたが、腹落ちしていない」という問題と、まったく同じ構造です。仕組みも計画も、作る過程に本人が関わり、自分の言葉で意味づけできているかどうかで、その後の機能のしかたが大きく変わります。どれだけ優れたルールでも、それを実行する人が「なぜこれをやるのか」を自分の言葉で説明できなければ、いずれ形だけのものになっていきます。

「やらされる仕組み」と「自分たちで作る仕組み」の違い

上から与えられたルールに従うことと、自分たちで話し合って作ったルールに従うことは、行動としては同じに見えても、その裏にある納得感がまったく違います。前者は監視がなければ簡単に緩みますが、後者は自分たちで決めたことだからこそ、自然と守ろうとする力が働きます。同じルールブックを渡されても、「なぜこれが必要なのか腹落ちしている人」と「とりあえず言われた通りにしている人」とでは、例外が起きたときの対応の質にも大きな差が出てきます。

この違いは、部下育成がうまくいかない本当の理由の記事でお伝えした「関係の質」の話にも通じます。ルールという「型」の前に、それを受け入れる土台となる関係性や納得感を育てておくことが、仕組み化を機能させる鍵になります。

体験を通じて、仕組みを「自分ごと」にする

ルールや仕組みを一方的に説明するのではなく、対話を通じて「なぜこの仕組みが必要なのか」を参加者自身が言葉にできる場を作ることで、仕組みへの納得感は大きく変わります。管理職研修にレゴ®シリアスプレイ®メソッドが効く理由の記事でもお伝えした通り、体験を通じて自分の考えを言語化するプロセスは、仕組みを「自分ごと」に変えていく効果的な手段です。

個人の行動を変える場面でも同じことが言えます。気合いやモチベーションに頼らず、行動を継続できる「仕組み」を作ることは大切ですが、その仕組みを本人が心から納得して作っているかどうかで、続けられるかどうかが変わります。誰かに与えられた仕組みは、意志が弱った瞬間に崩れやすいものですが、自分自身で「これなら続けられそうだ」と納得して設計した仕組みは、多少の波があっても立て直しやすくなります。1on1コーチングでは、こうした習慣化の仕組みづくりを、対話を通じて一緒に設計しています。

よくある質問

Q. ルールを決める際、現場の意見をすべて取り入れるべきですか?
すべてを取り入れる必要はありません。大切なのは、最終的な内容だけでなく、その仕組みが必要な理由を現場が理解し、納得できるプロセスを踏むことです。

Q. すでに形骸化してしまった仕組みは、どう立て直せばいいですか?
ルールを作り直す前に、まず現場がそのルールをどう受け止めているかを、本音で聞く場を作ることをおすすめします。多くの場合、ルール自体より、その背景にある納得感の欠如が原因になっています。

Q. 少人数の組織でも、仕組み化は必要ですか?
はい。人数に関わらず、属人化のリスクはあります。ただし少人数だからこそ、全員が仕組みづくりに関わりやすいという利点もあります。規模が大きくなってから慌てて仕組み化するより、小さいうちから納得感のある仕組みを育てておく方が、後々の負担は小さくなります。

Q. 仕組み化と、個人の裁量を大切にすることは両立しますか?
両立します。仕組み化は個人の裁量を奪うものではなく、むしろ安心して裁量を発揮できる土台を作るものだと捉えることをおすすめします。

Q. 経営者自身が仕組み化の必要性を感じていても、現場がついてこない場合はどうすればいいですか?
経営者の危機感と、現場の危機感には、もともと温度差があるものです。まずはその温度差自体を対話の場で共有し、経営者側の危機感を現場の言葉に翻訳していくプロセスが必要です。

さいごに

仕組み化は、組織にとって欠かせない考え方です。しかし、仕組みそのものの精度だけを追求しても、それを受け入れる側の納得感が伴っていなければ、形骸化してしまいます。ルールを作る前に、まず対話を通じて「腹落ち」する時間を作ることが、機能する仕組み化への近道です。急がば回れではありませんが、この一手間を惜しまないことが、結果的に仕組みの寿命を長くします。

「納得しないと動けない」人との向き合い方については、こちらの記事もご覧ください。
▶ご参考:納得しないと動けない人へ|結果を出す人は「納得」より「行動」を優先している

ご興味を持たれた方は、お問い合わせフォームからご相談ください。仕組みの精度を上げる前に、まず「なぜその仕組みが必要か」を、関わる人たち自身の言葉にする時間を作ってみませんか。

ではまた!