管理職になりたくない理由の正体|断る前に確かめたい3つのこと
こんにちは。コミュニケーションデザイナーの東ヤスオです。
「管理職にならないか」と打診されて、素直に喜べなかった。そんな経験はありませんか。責任は増えるのに、報酬や裁量は見合わない。周囲を見ても、大変そうな管理職ばかり。そう感じて「できれば管理職になりたくない」と考える方は、決して少なくありません。この記事では、管理職になりたくない気持ちの正体と、断るか受けるかを決める前に確かめておきたいことについてお伝えします。
なぜ管理職になりたくないと感じるのか
管理職になりたくないと感じる理由は、人によって違いますが、いくつかの共通点があります。責任の重さに対して報酬が見合わないと感じること、プレイヤーとして評価されてきた自分が、部下のマネジメントという別の仕事に切り替わることへの不安、上と下の板挟みになる人間関係、そして仕事とプライベートのバランスが崩れることへの懸念などです。どれも、もっともな感覚であり、「向上心がない」といった話ではありません。
ただ、「なりたくない」という一言の中には、実はさまざまな気持ちが混ざっています。何が嫌なのかを分けて見ていかないと、断った後も、あるいは受けた後も、もやもやが残りやすくなります。
実際にあった、ご相談
以前、昇進の打診を受けた方から「正直、断りたい。でも断っていいのか分からない」というご相談をいただきました。仕事は順調で評価もされている。それなのに、管理職になると聞いた瞬間、気持ちが重くなったといいます。
話を伺っていくと、その方が嫌だったのは、管理職という役割そのものではありませんでした。頭に浮かんでいたのは、日々遅くまで働き、疲れ切っている今の上司の姿でした。「あの姿が自分の未来になる」という思い込みが、管理職への抵抗感を強くしていたのです。対話の中で、自分がなりたい管理職の姿を言葉にしていくうちに、その方は、迷いの正体が「役割への拒否」ではなく「目の前のモデルへの違和感」だったことに気づきました。
自己診断:「なりたくない」の中身が見えていないサイン
- なぜ嫌なのかを聞かれても、うまく説明できない
- 身近な管理職の姿だけを見て、管理職全体を判断している
- 打診を受けたとき、断る理由ばかり思い浮かぶ
- 断るか受けるかの二択でしか考えていない
断る前に確かめたい3つのこと
1.「なりたくない」の中身を分けて見る
仕事の内容が嫌なのか、職場の環境が嫌なのか、自分に務まるかどうかが不安なのか。理由を一つずつ書き出してみると、思っていたより解決できる部分と、そうでない部分が見えてきます。
▶ご参考:1on1コーチング
2.目の前の管理職の姿を、自分の未来と混同していない
今の上司や先輩が疲弊しているからといって、自分もそうなるとは限りません。管理職の大変さには、個人の資質より、構造的な問題が大きく関わっている場合もあります。
▶ご参考:管理職が「罰ゲーム」と言われる理由
3.どちらを選んでも、自分で選んだと言えるようにする
断る場合も、受ける場合も、大切なのは、周囲の空気や損得だけで決めたのではなく、自分の意思で選んだと言えることです。その納得感があるかどうかで、その後の仕事への向き合い方が変わります。
▶ご参考:佐々木浩史さんのインタビュー
打診されたとき、すぐに返事をしなくていい
打診を受けたその場で、断るか受けるかを答える必要はありません。「一度、考えさせてください」と伝えて時間をもらうことは、失礼なことではなく、むしろ真剣に向き合っている姿勢の表れです。その間に、自分が何を不安に感じているのか、何であれば受け入れられそうなのかを整理しておくと、返事の質も変わります。
たとえば、「この条件が整えば引き受けたい」「この部分だけが不安なので相談したい」といった伝え方もあります。断るか受けるかの二択ではなく、自分の気持ちと会社の期待の間にある、第三の選択肢を探してみることもできます。
管理職になった後の姿を、具体的に描いてみる
「なりたくない」と感じるとき、頭の中にあるのは、漠然とした不安のイメージであることが少なくありません。そこで、もし管理職になったとしたら、自分はどんな管理職でありたいか、どんな働き方なら続けられそうかを、具体的に想像してみてください。部下とどんな関係を築きたいか、どんな時間の使い方をしたいか。細かく描くほど、不安の正体と、自分が本当に大切にしたいものが、少しずつ見えてきます。
「なりたくない」は、間違った気持ちではない
ここまで読むと、「結局、受けた方がいいのか」と感じられるかもしれませんが、そうではありません。管理職にならないという選択は、まったく正当なものです。専門性を磨き続ける道もあれば、今の役割を深めていく道もあります。大切なのは、「なりたくない」という気持ちを、確かめないまま結論にしてしまわないことです。
また、すでに成果を出している人ほど、「今のままで十分うまくいっている」という現状維持の力が強く働きます。変化を選ぶ理由が見つけにくいからこそ、その気持ちが本当に自分の意思なのか、慣れ親しんだ状態を守りたいだけなのかを、一度立ち止まって見つめてみる価値があります。
正解のない決断は、一人で抱えない
管理職になるかどうかは、誰かが正解を教えてくれる問いではありません。こうした「答えのない」決断こそ、第三者との対話が力を発揮する場面です。頭の中だけで考えていると、同じ理由が何度も巡るだけになりがちですが、言葉にして誰かに話すことで、自分でも気づいていなかった本音が見えてくることがあります。特に、周囲からの期待や、これまでの実績が大きいほど、自分の本当の気持ちは後回しになりやすいものです。
▶ご参考:コーチングが本当に効くのは「答えのない場所」
キャリア全体の選択として整理したい方は、キャリアコーチングも参考にしてみてください。
よくある質問
Q. 管理職の打診を断ったら、評価に影響しますか?
会社によって状況は異なるため、一概には言えません。まずは、上司や人事に断る理由を丁寧に伝えられるよう、自分の考えを整理しておくことをおすすめします。
Q. 管理職にならずに、キャリアを築くことはできますか?
できます。専門性を高める道や、プロジェクトを主導する役割など、管理職以外のキャリアの形もあります。自分がどう働きたいかを軸に考えてみてください。
Q. 一度断ったら、もうチャンスは来ないのでしょうか?
一度断ったからといって、二度と機会がなくなるとは限りません。状況や本人の気持ちが変われば、あらためて考える機会が訪れることもあります。
Q. 「なりたくない」理由がはっきりしません。どうすればいいですか?
理由が言葉にできない状態は、自然なことです。まずは、どんな場面で気持ちが重くなるのかを、思いつくままに書き出してみてください。
Q. 周囲は管理職を目指しているのに、自分だけ違う気がして不安です。
周囲と同じである必要はありません。自分の価値観に沿った選択ができているかどうかが、大切です。
さいごに
管理職になりたくないという気持ちは、否定すべきものでも、鵜呑みにすべきものでもありません。まずはその中身を丁寧にほどいていくことが、後悔しない決断につながります。断るにしても、受けるにしても、自分で選んだと言える状態をつくること。それが、その後の仕事を前向きなものにしていきます。
ご興味を持たれた方は、お問い合わせフォームからご相談ください。
ではまた!