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ネガティブフィードバックが伝わらない本当の理由|人格と行動を切り離す

ネガティブフィードバックが伝わらない本当の理由|人格と行動を切り離す

こんにちは。コミュニケーションデザイナーの東ヤスオです。

「部下に改善してほしいことがあるのに、どう伝えればいいか分からない」というご相談を、管理職の方からよくいただきます。ネガティブフィードバックは、多くの管理職にとって最も避けたい仕事の一つです。この記事では、ネガティブフィードバックがなぜ難しいのか、そしてどう向き合えばいいのかについてお伝えします。伝え方のテクニックを一つ変えるだけで解決するものではなく、その手前にある「前提」と「関係性」にこそ、機能するかどうかの分かれ道があります。

なぜネガティブフィードバックはこれほど怖いのか

ネガティブフィードバックを避けたくなる理由は、多くの場合「相手を傷つけたくない」「関係が悪くなるのが怖い」という気持ちにあります。特に、伝えた内容が相手にとって「自分自身を否定された」と受け取られてしまうことへの恐れが、フィードバックを先延ばしにする最大の原因になっています。

この恐れは、伝える側だけの問題ではありません。受け取る側も、指摘された瞬間に「自分の存在そのものを否定された」ように感じてしまうことが多く、双方にとって心理的なハードルが高い行為なのです。だからこそ、多くの管理職が「言わなくていいなら言いたくない」という気持ちに流されてしまい、結果として問題が放置され、後になってより大きな形で表面化してしまうこともあります。

「人格と思考を切り離す」という土台

ネガティブフィードバックが機能するかどうかは、会議を活発にする思考法「人格と思考を切り離す」とは?の記事でお伝えした考え方が土台になります。「この行動・この成果物についての指摘」と「あなた自身の価値についての評価」は、まったく別のものです。この前提を伝える側と受け取る側の両方が共有できていないと、ネガティブフィードバックはどうしても攻撃のように響いてしまいます。逆に言えば、この切り分けさえ共有できていれば、指摘の内容そのものが厳しくても、受け取る側は「自分が否定された」という感覚を持たずに済むようになります。

実際にあった、フィードバックのすれ違い

以前、ある管理職の方が、部下の資料の質について改善を求めるフィードバックをしたところ、その部下が翌日から急に元気がなくなり、しばらく発言も減ってしまったという相談を受けました。伝えた内容自体は、資料の構成についての具体的な指摘で、決して人格を否定するものではありませんでした。

しかし部下本人に話を聞くと、「自分そのものがダメだと言われた気がした」と話していました。指摘の内容は正しくても、その前に「あなた自身のことを否定しているわけではない」という前提が共有されていなかったため、指摘がそのまま人格への評価として受け取られてしまっていたのです。その後、この管理職の方は、フィードバックの前に必ず「これは資料の一部分についての話で、あなたの価値を下げるものではない」と一言添えるようにしたところ、部下の反応が明らかに変わったといいます。「指摘の内容を変えたわけではないのに、伝わり方がまったく違った」と、その管理職の方自身も驚いていました。

自己診断:ネガティブフィードバックが機能していないサイン

  • 改善点を伝えると、部下の表情が固まったり、その後の会話が減ったりする
  • 「傷つけたくない」という思いから、指摘すべきことを曖昧にぼかして伝えている
  • フィードバックの前に、人格と行動を切り離すという前提を共有していない
  • フィードバック後、フォローの機会を設けていない

機能するネガティブフィードバックの3つのポイント

1.伝える前に「切り離し」の前提を共有する
「これはあなたの人格ではなく、この行動についての話です」と、指摘の対象を明確にしてから話し始めることで、受け取り方が大きく変わります。

2.安心して受け取れる関係性を土台に作っておく
心理的安全性を組織やチームで浸透させるためには?の記事でもお伝えした通り、日頃から弱みを見せ合える関係性ができていなければ、どんなに言葉を選んでも、フィードバックは恐怖として受け取られてしまいます。

3.指摘だけで終わらせず、次の行動につなげる
何が問題かを伝えるだけでなく、行動できない人の3つのパターンの記事でお伝えしたWhy・What・Howの視点で、次にどう行動すればいいのかを一緒に整理することで、フィードバックが成長につながる機会に変わります。

よくある間違ったアプローチ

  • 関係が悪くなるのを恐れて、指摘すべきことを先延ばしにし続ける
  • オブラートに包みすぎて、結局何を改善すべきか伝わっていない
  • フィードバックの前に、人格否定ではないという前提を共有しない
  • 一度フィードバックしたら終わりで、その後の変化を確認しない

体験を通じて、フィードバックの土台を作る

こうした関係性の土台は、座学だけではなかなか実感を伴って身につきません。管理職研修にレゴ®シリアスプレイ®メソッドが効く理由の記事でもお伝えした通り、体験を通じて本音でつながる関係性を築いておくことが、日々のフィードバックを機能させる土台になります。また、部下育成がうまくいかない本当の理由の記事でお伝えした「関係の質」も、まさにこのフィードバックの土台そのものです。

よくある質問

Q. ネガティブフィードバックは、1on1の場で行うべきですか?
1対1で落ち着いて話せる場で行うことをおすすめします。他のメンバーの前で指摘することは、必要以上に人格否定として受け取られやすくなります。人前での指摘は、内容以上に「恥をかかされた」という感覚を強く残してしまうことがあります。

Q. どうしても関係が悪くなるのが怖くて、伝えられません。どうすればいいですか?
まずは「人格と行動を切り離す」という前提を、フィードバックの前に言葉にして伝えることから始めてみてください。この一言があるだけで、受け取り方は大きく変わります。

Q. フィードバックを伝えた後、フォローはどのくらいの頻度で行うべきですか?
決まった正解はありませんが、伝えた直後だけでなく、数日後・数週間後にも様子を確認する機会を持つことをおすすめします。継続的な関心を示すことが、フィードバックへの信頼につながります。

Q. 部下からのネガティブフィードバックを、上司として受け取ることも大切ですか?
はい。フィードバックは一方通行のものではありません。管理職自身も部下から率直な意見を受け取れる関係性を作っておくことが、双方向の信頼関係を育てます。

Q. 何度伝えても改善が見られない場合、どうすればいいですか?
同じ伝え方を繰り返す前に、相手がその指摘をどう受け取っているかを、あらためて確認することをおすすめします。伝え方の問題なのか、行動を止めている別の要因があるのか、対話を通じて見極める必要があります。

さいごに

ネガティブフィードバックは、避けるべきものではなく、相手の成長を支える大切な機会です。伝える前に「人格と行動は別のもの」という前提を共有し、安心して受け取れる関係性を土台に育てておくこと。この2つが揃って初めて、フィードバックは本来の力を発揮します。伝えることを恐れるより、伝え方の土台を整えることに時間をかけてみてください。

組織として、フィードバックが機能する関係性の土台をチーム全体で作りたい方は、レゴ®シリアスプレイ®メソッドを活用した管理職研修をご検討ください。ご興味のある方は、お問い合わせフォームで「レゴ・シリアスプレイ」を選択の上ご連絡ください。

また、ご自身のフィードバックの伝え方や、部下との関係の築き方を個別に見直したい方は、1on1コーチングもご活用いただけます。まずは体験セッションからお試しください。

次にフィードバックを伝える機会があれば、まずその一言を意識してみてください。

ではまた!